コロナ禍での新規事業立ち上げや新店舗オープン、離島での開業、オリジナル商品の開発など、創業22年目を迎えた現在も挑戦する姿勢を貫き成長し続けるRHグループ。この記事では、RHグループを支えるスタッフたちを紹介。今回は、RHグループ飲食事業部本部長の上林勇貴と総料理長の池田葉介にインタビュー。新規事業である肉事業の立ち上げ期を振り返りながら、飲食事業に懸ける思い、仕事をするうえで大切にしていることについて聞きました。
上林 勇貴(かんばやし・ゆうき)/RHグループ 飲食事業部本部長、株式会社RHリンクス 代表取締役
某大手居酒屋チェーン店で働いたのち、2008年にRHグループに入社。各店舗のスタッフ、責任者などを務めた後、2011年からグループ会社である株式会社RHリンクスの代表取締役に就任。高田馬場にある「炭焼長者 馬場六区」や「藁焼き めっけもん」の経営、厨房機器・陶器の販売事業を手がけながら、RHグループ全体の飲食事業部本部長も務める。日本調理師 正友六進会 理事。
池田 葉介 (いけだ・ようすけ)/RHグループ 飲食事業部総料理長
17歳で日本料理の道へ。自由が丘、銀座、西麻布など都内の日本食料理店で研鑽を積み、2021年にRHグループへ入社。「神楽坂 囲炉裏 肉よろず」の開店に伴い、RHグループ飲食事業部総料理長に就任。公益社団法人日本料理研究会 技術理事。日本調理師 正友六進会 理事。
経営と現場をつなぐパートナー
---お二人は普段、飲食事業部の本部長と総料理長として一緒にお仕事をされることが多いと思うのですが、お互いにどのような印象を持っていますか?
上林本部長:池田料理長は、お客様や一緒に働くスタッフなど他者の気持ちに寄り添える、とても思慮深い方だと感じています。
それは、人間関係も仕事もプライベートも全てにおいて言えることだと思っていて、料理に関してはお客様が喜ぶことを一番に考えていますし、他者との会話も相手の気持ちを考えて、丁寧に言葉を紡いでいるような印象です。
和食の世界で長くやってきたこともあり、縦・横の関係もきちんとしています。かと思えばふざけてみたり(笑)遊び心も持っているあたたかい方ですね。
池田料理長:(笑)
他者の気持ちに寄り添うということに関しては、必ず本音で話ができるような環境・関係性づくりを大切にしています。
さまざまなお店で働いてきて、何度か料理長もやらせていただきましたが、私が一番恐れているのは、上司からの過度な圧力で部下が自分の失敗を隠してしまうことです。
そうなると最悪の場合、お客様にダイレクトに迷惑がかかることもあります。私も昔、そういう失敗をしたことがあるので…。
失敗したことを正直に言える環境をつくっていきたい。相談し合える信頼関係を築けるように意識していますね。
---では、池田料理長から見て、上林本部長はどのような方ですか?
池田料理長:圧倒的なリーダーシップで組織をけん引していく力強さと、さまざまなことに気を配り配慮する細やかさと、両側面を併せ持っていると思います。私がお会いした経営者のなかでもなかなかいない、稀有な方ですね。
現場にも結構立ってくれていて、誰もできていない仕事をサッとやってくださる。全体のサポートをしながら、要所要所でスタッフの指導もしてくださって。
とても尊敬していますし、上林本部長のそういった姿勢に現場の私たちも応えていきたいと思っています。
肉の可能性に懸けて、新規事業へチャレンジ
---お互いを理解して尊重しながらお仕事をされていることが分かります。RHグループの新規事業である肉事業と、旗艦店である東京・神楽坂の「神楽坂 囲炉裏 肉よろず」は、お二人が中心になって立ち上げた大きなプロジェクトでしたね。どのような思いで進めましたか?
上林本部長:新型コロナウイルス感染症がまん延して、飲食店は時短営業や休業を余儀なくされていたことから、私を含めた経営陣には当時、普段よりも多くの時間がありました。何もできることがないなかでただ時間は過ぎていく…。いろいろなことを考えました。
ちょうどそのとき、私自身30代から40代に突入する節目の時期だったからだと思いますが、年を取ったときにどんな風に働きたいか想像しました。私は、できる限り長く飲食業界で活躍したい、かっこよく働いていたいと思いました。
自分と同じように、今いるスタッフが40歳、50歳、60歳…いくつになっても輝ける場所をつくってあげたい。そんな思いが芽生えました。
そのためには若者向けの大衆居酒屋ではなく、少し大人な落ち着いたお店があったらいいなと考えて、プロジェクトを始めました。
少し大人な落ち着いたお店というのを具体的にすると、既存店よりも客単価が高いワンランク上のお店を目指しました。
ワンランク上のお店ということで中心となる食材を探していたところ、和牛を仕入れることができるルートと繋がれて。
肉は今までほとんど扱ったことがなかったのですが、和牛だったら大人のお店にぴったりだなと思いチャレンジすることにしました。
---肉事業と「神楽坂 囲炉裏 肉よろず」を立ち上げるにあたって、苦労したことはありますか?
池田料理長:肉割烹の経験が今までなかったので、当時は「メニュー構成はこれで本当にいいのか?」と相当迷いました。
上林本部長:私と池田料理長、もう一人のスタッフの3人で、夜遅くまでああだこうだ言いながら決めましたよね。私がメニューのたたき台をつくって、池田料理長がタレなど味付けの微調整をして、みんなで試食してという感じで…。
池田料理長:そうでしたね。1番悩んだのが「リブとろ碗しゃぶ」という料理です。生の和牛リブロースに熱々のお出汁をかけて、ほんのりと火が通った状態で召し上がっていただく料理なのですが、実はこの料理を理解するのに半年かかりました。
もちろん、理解するまでも最善を尽くして調理していたのですが、半年間向き合い続けてようやく本当に理解できましたね。
肉の捌き方に慣れるのにも苦労しました。大きい塊肉を捌くのに当時は慣れていなかったので。肉を捌く担当のスタッフは自分でも調べたり勉強したりして、工夫してくれましたね。
上林本部長:RHグループでも、肉を本格的に扱うことが今までなかったですからね。野菜・魚と肉は、扱い方や保存方法・保存期間など異なる部分が多くて最初は難しかったですね。
---今まで扱ったことのない肉という食材をなぜ扱うことにしたのでしょうか?また、肉を扱ってみて、感じたことを教えてください。
上林本部長:ビジネス的な観点で言うと、お肉がメインの料理はお客様が想定している価格がすでに高いので、価格設定がしやすいんですね。たとえば、焼肉だったら一人6,000円くらいかかるのが相場かと思うので、それを基準に「肉よろず®」ブランドの付加価値をつけながら価格設定ができます。
さらに、魚や野菜に比べて、肉は調理にかける労力が少なくても美味しく調理できるんですね。
池田料理長:なかでも特にオリーブ牛は、とろけるような口どけとコクのある旨みがありながらも、あっさりとした上品な味わいで、今までに出会ったことのない肉。料理に使う上でポテンシャルがかなり高く、この肉で勝負したい!と強く思いました。
自分たちにしか作れない料理で“食”の楽しさを伝える
---経験が少なく苦労しながらも、肉の可能性を信じてプロジェクトを進めていたのですね。では、現在の肉事業の課題を教えてください。
上林本部長:もう少し人員を増やしたいですね。正直、売上だけのことを考えたら、今の人数でももっと伸ばすことはできます。
でも、忙しすぎて現場が殺伐としてしまっては働いていても面白くないですし、お客様の前でも笑っていられないのでお店の雰囲気としても良くない。
より多くの方々に喜んで利用していただくためにも、人員を増やしてスタッフもお客様も楽しく過ごせるようなお店にしたいですね。
池田料理長:調理の面でも、今よりもさらに綿密な仕事をするために、一緒に働いてくれる方が増えればいいなと思います。
---では、肉事業の今後の展望を教えてください。
上林本部長:今後の展望については3つあります。一つ目は、よりプライベートな肉料理店を開くこと。6席くらいの規模感ですね。二つ目は、よりリーズナブルでカジュアルな居酒屋のような焼肉屋を開くこと。
既存店である「かまど焼 NIKUYOROZU」「神楽坂 囲炉裏 肉よろず」も含めて、4店舗をしっかり運営できるようになると、人員の確保がしやすくなると考えています。
なぜかというと、さまざまな接客のスタイルの中から各スタッフの希望に合わせて、フレキシブルに人事異動ができるからです。
そして三つ目は、ある程度店舗が増えたら、セントラルキッチンを導入して現場の負担を軽減したいです。オープンキッチンで仕込みながら接客をするよりも、セントラルキッチンで仕込みを行うほうが、料理も接客も質が上がります。
池田料理長:料理については、“偶然の産物”を大事にしていきたいと思っています。というのも、意味もなくキャビアをのせる、トリュフをスライスして高く積み上げて豪華に見せるなど、ありきたりな内容やどこかのお店の真似事ではなく、自分たちで一から考えた料理を提供したいという思いがあるからです。
そういう料理は、本を読んだり雑誌やメディアを参考にしたりするだけでは、なかなか生まれないんですね。やはり、自分で試して失敗して得るものが大きい。
少し前にも牛すじを使った揚げ出し豆腐のあんかけの料理を作っていたのですが、いろいろ試してみてもどうも脂っぽくなってしまって。それで、突き詰めていったら思わぬ味わいにたどり着いて。「こんな料理できちゃった!」とつい嬉しくなりました。
上林本部長:池田料理長の料理への姿勢は本当に勉強になりますね。私の想定よりも2倍以上、手間暇をかけて丁寧に調理して…。たとえばタケノコを茹でるとき、1回茹でてその出汁を捨てるんですよね。居酒屋だったら最初の出汁で仕上げちゃいます。
でも手間暇をかけることで、不要な水分とアクがタケノコから抜けて、入れたい味がしっかりと入るんですよね。これは、池田料理長から教えてもらいました。
RHグループでは“食文化に寄り添う”という理念があります。私自身、池田料理長と仕事をするようになって、改めて“食”の素晴らしさに気づかされたこともあり、今後は「食育」を意識していけたらと思っています。
スタッフの場合は美味しいものを作るスキルが高くなるのも食育ですし、お客さんの場合は、美味しい料理に出会ってその料理に使われている食材や技術に、興味を持つのも食育です。
RHグループに関わるすべての人々が食を中心に発見や学び、楽しさを感じられるような環境づくりをしていきたいと考えています。そして、まだ食に関心がない方もRHグループの各店舗でいろいろな料理と出会って、少しでも食に興味を持っていただけたらうれしいなと思いますね。
変化するニーズに合わせて事業を成長させる
---RHグループの理念について触れていただきましたが、RHグループの強みは何だと思いますか?
上林本部長:私はほぼ創業当初から働いていますが、やはり創業から22年間で培ってきた経営ノウハウは、確固たるものがあると自負しています。飲食から派生して、いろいろな事業を展開しているのも強みです。事業ごとに分社化・グループ化しており、リスクヘッジできていると思います。
また、飲食事業に関しては長年の経験やノウハウを活かして、店舗運営だけでなく飲食コンサルも行なっています。
今までのやり方に固執することなく、時代とともに変化するニーズに合わせて事業を成長させることを意識していますね。
池田料理長:私はどちらかというと社歴が少ないので、逆に他の会社を見てきたなかで感じたことは、RHグループはより良い接客をするためにはどうしたらいいか、環境づくりを徹底している会社であるという点です。
アルバイトと社員の距離が近いので、情報伝達のスピードも速く、言いたいことをきちんと言い合える関係性が築かれているんですよね。風通しの良い環境だと思います。
また、他店舗との繋がりや連携もしっかりしているので、他店にヘルプへ行ったときも皆さん本当に気持ちよく働いてくれます。
より良い接客をする、美味しい料理を提供するという、飲食業の本質的な部分に集中できる環境が整っているのが、RHグループの強みだと感じています。
学びと笑顔で溢れる刺激的な職場
---RHグループに入社した理由は何ですか?
上林本部長:単純に、楽しそうだったからですね(笑)もともとお客さんとしてRHグループのお店に行っていたのですが、働いていた社員の方と仲良くなって誘われたのが入社のきっかけです。どのスタッフも全員イケイケの接客で、とても楽しそうだったし学べることがたくさんありそうだなと思いました。
ただ、当時少しためらう気持ちもあって。というのも、私の父がフレンチや和食などしっかり料理をやってきた人で、その経験から一時期、実家で居酒屋を営んでいたことがあったんです。私も調理場に入ったりして手伝っていたのですが、経営があまり良くなかったので、たたんでしまったんですね。そういう過去もあり、飲食業にあまりいい思い出がなくて。
でもRHグループで実際に働いてみたらすごく居心地がよくて、あっという間に20年です。“蛙の子は蛙”というのも感じましたが、毎日ずっと楽しくて、ここまで続けてこれましたね。
池田料理長:私は、実はホール希望で入社しているんですよ。というのも、コロナ禍で都心の飲食店は満足に営業できず、閉業せざる負えないお店を目の当たりにして…。都心の飲食店で働くことにネガティブになっていました。
都心から少し離れたところでのんびりと、自分のお店を開きたいなと思いました。ただ、私は調理の経験しかなかったので、調理以外のことも学びたくて。居酒屋で働くといろいろな経験ができるというのを聞いていたので、RHグループの求人に応募しました。
上林本部長:先ほど話したとおり、「神楽坂 囲炉裏 肉よろず」は、既存店よりも客単価が高いワンランク上のお店を目指していたので、ある程度調理のスキルがある方に料理長をやってほしかったんですね。
「神楽坂 囲炉裏 肉よろず」の料理長が決まっていないなかで、池田料理長が入社してきたとき、経歴を見て「きちんと料理をやってきた人なんだ」と感じて。「神楽坂 囲炉裏 肉よろず」の料理長にぴったりだと思いました。
そこで、ホール希望だった池田料理長に頼んで、料理長をやってもらうことになったんですよね。
池田料理長:出勤した初日に発注を頼まれたときは、衝撃的でした(笑)ある意味で、期待していたとおり、いろいろな経験をさせてもらっています。でももし、調理場に人がもっと増えたら、私はホールのポジションへ移動させてもらえればと…(笑)
上林本部長:いまだに諦めてない(笑)
スピード感をもって最短距離で行動する
---そんな裏話があったんですね(笑)それぞれいろいろな思いを抱いて入社されたかと思いますが、仕事をする上で大切にしていることは何ですか?
池田料理長:素材の持ち味を活かした料理を作ることです。また、自分が経験してきた和食の知見を最大限に発揮したいと考えています。
この2点を意識した調理やメニュー構成で、お店や会社に貢献したいと思っています。
上林本部長:私は経営面で、スピード感を持って最短距離で行動することを大切にしています。例えば、料理を出したときにお客さんの反応が悪かったら、そのまま提供を続けていても意味がないので、次の日には何かしら変えるなどしていますね。
池田料理長:この業界では信念がある料理人の方も多いので、なかなかスピード感のある改善は難しいこともあると思います。
でも私は、自身を完璧な人間ではないと思っているので、いろいろな意見を聞きながらお客さまにとってベストは何かを考えています。周囲の声を素直に受け入れる姿勢は大切にしていますね。
行動力と向上心でチャンスを掴む
---この記事を読む方の中には、RHグループに興味を持っている方もいるかと思います。今後、どのような人と一緒に働きたいですか?
池田料理長:飲食ではチームプレーが大切なので、協調性がある方と働けるとうれしいですね。全体に配慮しながら行動できる方がいいかなと。
また、行動力のある方とも一緒に働きたいです。私が良いお店づくりをするうえで大切にしているのが、スタッフがちゃんと参加するということ。「私の仕事はここまでだからそれ以上はやらない」ではなく、良いお店をつくるにはどうしたらいいかを基準に、自分で考えて行動できる方と働きたいですし、そういう方がこの業界でも伸びていくのではないかと思います。
また、挑戦する姿勢がある方も大歓迎です。私は常々スタッフにチャンスをつくってあげたいと思っているので、「こんな料理を作ってみたい!」「この料理はお客さまが喜びそう!」など、どんどんアイディアを出してほしいです。
私一人の観点では、料理の可能性も広がりにくい。お客さまにとってのベストを導き出すために、みんなで意見を出し合いたいですね。
上林本部長:私は、行動力と向上心がある方と働きたいです。何か夢や目標があるといいと思います。例えば「もっと稼ぎたい」という夢もいいですね。「もっと稼ぐにはどうすればいいですか?」と聞きにきてくれるくらいだとすごくうれしいです。
それから、RHグループの店舗は良い意味で“好き勝手”できるので、そういった点をうまく活用してほしいです。例えば、使いたい食材があったらまずは提案してくれていいと思います。高額な食材の場合は、個人ではなかなか仕入れることができないと思うので、会社で仕入れれば、会社のお金で食材の勉強ができますよね。そういったチャレンジ精神がある方と一緒に働きたいです。
飲食は、人生を豊かにする出会い溢れるライフワーク
---最後に、飲食業界で働く醍醐味は?
池田料理長:私はもともと飲食の世界に入ろうと思っていなかったのですが、一生続けられる仕事は何だろう?と考えた結果、飲食の世界に、料理の道に足を踏み入れました。
一生をかけてスキルと経験を積む。下積みから始まり料理長になるなど、年齢ごとに働き方が変わっていく中で、食で繋がったさまざまな人たちへ、自分の技術を教え伝えられることが、醍醐味であり幸せだと感じます。
上林本部長:私が思う醍醐味は、いろいろな出会いに溢れていることですね。スタッフやお客さまはもちろん、同業者の方とも情報交換がてらよく食事に行くこともあります。
大人になってから深く関わる人が増えるのってあまりないですから。20数年通ってくれている常連様はもはや親友ですね(笑)ちなみに私の妻も元お客さまなんですよ(笑)
私は長く飲食業をする中で、人生を豊かにしてくれる出会いがたくさんあった。これから入社する方にも、食を通じながらさまざまな人とかかわって楽しく働いてもらいたいです。
RHグループでは、社員(調理スタッフ、店長候補)や アルバイト(ホールスタッフ)を募集しています。
詳しくは、以下のページをご覧ください。