コロナ禍での新規事業立ち上げや新店舗オープン、離島での開業、オリジナル商品の開発など、創業21年目を迎えた現在も挑戦する姿勢を貫き成長し続けるRHグループ。この記事では、RHグループを支えるスタッフたちを紹介。入社のきっかけやRHグループで身についたスキル、やりがい、飲食店で働く醍醐味について深堀りします。今回は、RHグループの精肉事業部総責任者兼株式会社アドリープの取締役である、今井昴太にインタビューしました。
今井 昴太(いまい・こうた)/RHグループ 精肉事業部総責任者・株式会社アドリープ 取締役
2012年に服部栄養専門学校 ハイテクニカル経営学科を卒業後、東京都・銀座にあるフランス料理店で修行を積む。その後、RHグループに入社し「丸心食道がっ天」(現・かまど焼 NIKUYOROZU)に配属される。2017年に店長に就任後、2020年には株式会社アドリープの取締役に抜擢。さらにRHグループが2022年1月に立ち上げた肉のセレクトショップブランド「肉よろず®」の精肉事業部総責任者としても活躍。(2024年11月に退職)
自分を認めてくれる場所で働きたい
---RHグループに入社したきっかけを教えてください。
RHグループと最初に出会ったのは学生時代です。調理の専門学校に通いながら「かまど焼 NIKUYOROZU」の旧店舗「丸心食道がっ天」で2年間、アルバイトとして勤務をしていました。
卒業後は都内にあるフランス料理店に就職したのですが、働き方が自分に合わず体調を崩してしまったため退職をしました。
僕は、幼い頃から、“コックさんになりたい”という夢がありました。外食の際たまに見かける厨房のシェフや、自宅の台所で両親が食事をつくっている最中など、幼いながらもただ漠然と「料理をする人ってかっこいい」と思っていたんですよね。
退職した当時、すっかり自信をなくしていたのですが、自分が調理したものを誰かにおいしいと言ってもらいたい、他人を喜ばせたいという気持ちだけはあって。
そんな時に思い出したのが、RHグループで働いていた日々です。「丸心食道がっ天」でアルバイトをしていた頃は、立場や年齢など関係なく、みんなで賑やかに働く日々が本当に楽しくて。
イケイケの先輩たちからたくさんの刺激を受けながら、自分らしく働かせてもらっていました。
飲食業界は、まだまだ年功序列の縦社会の風習が残っている業界だと思います。先輩たちに揉まれながら下積みを経て、調理の道を極めるのも一つの選択肢ですが、僕はもう少しフランクに働きたかった。
自分のことを認めてくれる場所で、楽しみながら働くのが性に合っていると思ったんです。
「飲食業界に再挑戦する自分の舞台はここだ」と思い、RHグループに入社を決めました。
「立場が人をつくる」を体現
---精肉事業部総責任者に抜擢されるまでの経緯を教えてください。
入社して4年目の頃に「丸心食道がっ天」の店長にならないかとお声がけをいただきました。当時、お店が開店10周年を迎えたタイミングのことです。
店長としてのキャリアを重ね、約3年後にはRHグループ・株式会社アドリープの取締役に就任。そしてさらに2年後、「かまど焼 NIKUYOROZU」がオープンするタイミングで精肉事業部総責任者というポジションに抜擢いただきました。
感覚としては、昇進するために頑張ったというよりも、どんどん立場のある役職を与えてもらい、その職務を果たすため自身のスキルが追いつくように頑張ったという感じですね。
「立場が人をつくる」という言葉がありますが、僕自身がまさにそれを体現させてもらったと思います。
RHグループは、日々キャリアアップに向けてある程度の布石を打ってくれるので、予め心構えできる点が良いと思います。
社長自らが定期的に「今どんなこと考えてるの?」とか「将来的にはこうしたいなら、来年のいつまでにはこうなっていよう」というような話をしてくれて、そのなかで自分自身の大枠のビジョンが見えてくるので、時期が来たらすっと自然に与えられた役職を全うできる。
日々目の前の業務を必死にこなしていると、なかなか自身の将来についてゆっくり考える時間がないことも多いと思うのですが、社長や先輩に丁寧にマネジメントしてもらえたことで、今の僕があると思っています。
手探りでも信じて突き進んだ精肉事業
---精肉事業はRHグループが新規で立ち上げた肉のセレクトショップブランド「肉よろず®」の一環として展開されていますね。立ち上げにあたって、一番苦労したことはなんですか?
精肉事業では、ECサイトでの販売など初めての取り組みもあり、ノウハウがないなかで手探りでのスタートでした。
何が正解か誰にもわからないうえ、すぐに結果が出ない部分も多い。だけど信じて突き進むしかない。
正解がわからないなかで模索する日々は大変でしたが、それでも突き進めたのは、RHグループには複数の事業のベースがあるという点が大きかったです。
他の事業がきちんと成り立っているから、新しいことにも挑戦しやすい。そこがRHグループの強みだと思います。
---RHグループにとって精肉事業を行う意義は何ですか?
精肉事業は、RHグループが展開する肉事業全体の起点となる部分だと思います。
神楽坂の店舗「神楽坂 囲炉裏 肉よろず」をはじめ、精肉ギフトのECサイト「NIKUYOROZU」、そして三鷹の店舗「かまど焼 NIKUYOROZU」をほぼ同時期にオープンした理由は、精肉がひとつのブランドとして確立した時に、その肉を扱う店舗のブランドイメージも確立されるという考えからです。
また、逆も然りで、レストランのブランドが確立したときに、精肉のブランドも成り立つ。
そういう相関関係が生まれることで、包括的にそれぞれの事業に厚みが出て、今後の展開もしやすいと思っています。
---精肉事業では、オリーブ牛(※)をメインに扱っていますね。その理由を教えてください。
オリーブ牛の魅力として、やっぱり圧倒的においしいんですよね。シンプルに料理人として、このおいしさを多くの人に広めたかった。
黒毛和牛って、脂が濃厚でこってりしたイメージがあると思うのですが、オリーブの果実を飼料に育ったオリーブ牛は非常に脂があっさりしているので、他の黒毛和牛にはない上質な味わいに皆さん驚かれます。
まだまだ知名度が低いブランド牛ではあるのですが、その分競合他社が少ないので、弊社のようにゼロから始める精肉店としては、戦う余地があるのではと思ったんです。
オリーブ牛を通して知名度を上げられれば、唯一無二になれるのではないかと。今後ももっとたくさんの人にオリーブ牛が認知されるよう取り組んでいきたいです。
※「オリーブ牛」は黒毛和牛の一種で、出荷2カ月前から毎日200g以上のオリーブの搾り果実を与えた、3等級以上の讃岐牛
---今、課題に感じていることはありますか?
精肉ギフトのECサイト「NIKUYOROZU」の商品について、どうしても価格帯がネックになっていると感じています。ギフトとして誰かに贈るものは、自分で買うもの以上に選定基準が高いと思います。
上質な品物を適正な価格で販売することによって信頼感が生まれる一方で、なかなか気軽に手が出しにくい価格のものをオンラインで購入するのは、お客様からするとやはりハードルになってしまう。
レストラン事業と並行してブランドに対する信頼を獲得しながら、そのハードルを下げたいと思っています。
リピート率が高いので、口コミを積極的に集めて公開したり、新しい商品も増やしていきたいです。
---精肉事業の今後の展望をお聞かせください。
精肉事業の中でも特に、ECサイトはまだまだポテンシャルがあると思っているので、まずは精肉ギフトのECサイト「NIKUYOROZU」の知名度を上げていきたいです。
ECサイトでは全国の方にお肉をお届けすることができるので、遠方にお住まいでレストランにはなかなかお越しいただけない方にも、ブランドを知っていただくきっかけとなったら良いなと思っています。
さまざまな試行錯誤の上、ご自宅で上質な黒毛和牛を味わっていただくためのこだわりが詰まった商品なので、今後さらにお客様が注文しやすいシステムをつくり、より多くの方に「おいしい体験」を広めたいです。
多様な声を聞き、視野を広げる
---精肉事業総責任者として大切にしていることはなんですか?
自分の裁量だけで完結させず、できるだけ色々な人に意見を聞いてから判断するように心がけています。全部ワンマンでやりきろうとすると、視野が狭くなりよりよいものが生まれないと思っているからです。
より多くの人の意見を聞くことで、自分だけでは決して生まれなかったアイディアや新しい発見があるので、各分野のプロへはもちろん、アルバイトや社員まで立場は関係なくさまざまな視点での意見を聞くようにしています。
---現場のスタッフと接する際に大切にしていることは何ですか?
とにかく現場で働いてくれる人たちがいないと成り立たないので、働き方をはじめ人間関係や日々の業務に関する些細な部分まで、しっかりと意見を聞くことです。
同じお店で働く仲間の一員として、なんでも相談しやすい関係性をつくっていきたいと常に思っています。
たとえば、僕の立場からスタッフへ「これをやって」と言ったら、やるしかなくなってしまうと思うんです。
でも「こういうふうにしようと思ってるんだけど、こんなやり方はどう?」と提案したり、相手の意見を聞いて納得した上で「こういう理由で必要だからやってほしい」と伝えることで、なぜそれをやる必要があるのかをきちんと理解してもらえるように気をつけています。
理由を説明した方が定着しやすいですし、次に新しい人へ教える時にも同じように説明できるので、みんなやりやすいんじゃないかなと。
ただ指示を出すだけではなく、その指示に至った理由までを紐解くことで、他の部分の思考や行動にも反映され、スタッフの働きやすさや全体のスキルが上がることに繋がると思っています。
それから、上層部の意見を現場スタッフにおろす時の伝え方にも気をつけています。トップの意見をきちんとスタッフに伝えることは、すごく大事なことだと思っていて。
だけど言葉のままに伝えてしまうと、誤解が生じてしまう可能性もあるので、重要な要素を汲み取り僕自身の言葉に噛み砕いて、相手にとって伝わりやすい形で伝えるようにしています。
あとは、内容によってはスタッフ全体に向けて一斉に話した方が良いパターンと、ひとりずつ個別に話した方が良いパターンがあるので、状況判断は心がけていますね。
それ以外にも「これは僕ではなくこの人から言ってもらったほうが伝わりやすいな」と判断した場合には、伝える人を選んで振り分けたりすることもあります。
---たとえば、これから入る新入社員のうち、いずれ責任者になりたいと思っている人に、RHではどんな努力をすると良いなどのアドバイスはありますか?
挑戦する機会をたくさん与えてもらえる会社なので、チャンスを取りこぼすことなく、積極的にチャレンジしてみると良いと思います。
また、RHグループは飲食事業以外にも不動産事業や建築事業など複数の事業を展開している企業です。そのため、自分の守備範囲を広げて、複合的な視点で捉えることが重要です。
責任者という役職に就くと、日々さまざまな決断を下すことの連続です。スピード感が求められるため、その都度上の判断を仰ぐことなくある程度のことは自身で決断していく必要があります。
そういった際に立場に縛られて独善的にならないよう、日頃から周りの多様な声にしっかりと耳を傾け、広い視野を培うことが大切だと思います。
---新規事業の立ち上げではマネジメントとプレイヤーのどちらも担う場合があると思いますが、どのように両立していますか?
正直、すごく難しいですが、やはり全部を自分でやろうとしないことですかね。自分でなくてもいいことは他の人にやってもらい、自分にしかできないことは自分でやるようにしています。
そうしないと、自分が一番注力しないといけない部分にベストを尽くすことができない。
結果として、店舗全体のさまざまな面でのバランスが崩れることに繋がってしまうと思うんです。
あまり現場に深入りしすぎないように、任せられるところは任せてやってもらうことが、スタッフのスキルアップや店舗のクオリティを維持するためにも大切だと思います。
僕の場合、自分でやらないと気が済まなくて心配になってしまうタイプなので(笑)かなり意識して取り組んでいます。
「かまど焼 NIKUYOROZU」店長の渋谷をはじめ、信頼できるスタッフがいることで日々助けられています。
ゴール見据えながら、自分らしくのびのびと働く
---今後、どのような人と一緒に働きたいですか?
自分の意見をしっかりと持っている、主体性のある人ですかね。
言われたことをその通りにやるというよりかは、「こういう理由から、こういうふうにしたい」と主張してくれる人の方が、社風には合っていると思います。
ただ、他人の意見をないがしろにしてほしくないので、状況を判断しながら他人に合わせて伝え方を柔軟に変えるなど、独りよがりではない耐性のある人が良いです。お客様のため、お店のためというのをゴールを踏まえて提案してほしいですね。
あとは、飲食業界未経験の方には、飲食業界ならではの慣習に対して疑問や意見があれば、遠慮なく教えてほしいです。
フラットな目線で会社を見ていただき、「この業界ではこういうふうにしてたから、こうするといいと思う」のような意見がもらえると嬉しいです。異業種を経験しているからこそ見えるものって、あると思うんですよね。
飲食業界経験者であれば、飲食と一口に言っても色々なお店があると思うので、今までのお店での経験をどんどん披露してもらいたいです。
メニューの開発や新しいサービスの提案など、お店の構築を一緒にしてくれる人を求めています。自分を目一杯表現するような働き方をしてほしいですね。
---入社を検討中の方へ、今井さんから伝えたいことはありますか?
RHグループでは、色々なことにチャレンジする機会を与えてもらえる会社なので、ビジョンが明確な人にとっては、自分のやりたいことを実現しやすい環境という点が最大の魅力です。
逆にやりたいことがわからないという人も、来てもらえれば、やりたいことが見つかる可能性が十分に期待できると思います。
間口が広く、その人の特性に合わせて多様な選択肢が用意されているので、ぜひ自分らしくのびのびと働いてもらいたいです。
“生粋の料理人”をサポートしたい
---今井さんの今後の夢や目標を教えてください。
2023年夏に開催された「ものづくり・匠の技の祭典」は、自分のなかで今までになかった今後の目標が芽生えた機会でした。
最近の僕は「経営は包丁一本ではできない」と思い、単純な料理のスキルアップは正直後回しにしていた日々でした。
そんななかで「ものづくり・匠の技の祭典」にRHグループとして参加して強く思ったのは、「料理一本で勝負している人は、もっと報われるべきだ」ということ。
生粋の料理人のなかには、経営の勉強の分を全て料理の時間に費やしていることで、素晴らしい才能が世に出ず花開かないままの人が多いことを知りました。
愚直に料理の腕一本でお店を築き上げるのは難しいことだと思っています。僕はそういう人のサポートをしていきたいと、改めて強く感じました。
生粋の料理人とうちの会社は、意外と相性が良い気がしていて、お互いに持っていない部分を補い合える良いパートナーになれると思います。
料理一本で勝負してきた才能を持て余している料理人を、世に送り出せるような会社になれたら、文化発信として素晴らしい取り組みになるのではと考えています。
それから、調理の専門学校には女性が多いのに、実際は料理人に女性がまだまだ少ない世の中の現状があると思います。男女問わず料理の腕を磨きたい人を積極的に採用していく取り組みもしていきたいです。
---試行錯誤を繰り返していた三鷹の「かまど焼 NIKUYOROZU」もようやく花開いた状況だと思うのですが、どのような心境ですか?
転換点は食べログの点数が上がったこと、テレビに出たことが大きかったかなと。
三鷹というローカルな土地でうちのように少し敷居の高いお店が評価をいただいたことを、誇りに思っています。これからもレベルの高い、かっこいい勝負をしていきたいなと思いますね。
あとは個人的な感想になるのですが、スタートがゆるやかでしばらくして開花するというのは、僕自身がそういう人間なので、お店も同じなのかもしれないなと思いました。
先に立場を与えてもらい、そこに向けて頑張るっていう、ずっとそういう図式。今回も、今までにない新しい挑戦となるお店を先に立ち上げて、あとはそのレベル感に合わせられるよう必死になって追い上げました。
でもまだまだ追いついていない部分も多いと思っているので、そこに追いつくために「やるしかない」ですね。
たまに怠け者なので(笑)優先的にやらなくてはいけないことをしっかりと整理して、お店全体のクオリティをどんどん上げていきたいです。
感想までをも聞けるのは飲食業にしかない感動
---最後に、今井さんにとって飲食店で働く醍醐味はなんですか?
やっぱり、自分が調理したものを目の前で楽しんでいただけることかなと。
色々な製造業があると思うのですが、なかなか自分が調理したものが消費されるところまでを見届けられる人が少ないなかで、あまつさえ感想までをも聞けるのは、飲食業にしかない感動だと思います。
料理に対してすぐに目の前で結果を知ることができるので、わかりやすくやりがいを感じられる。若い頃はそれが一番楽しかったです。
新しいメニューをつくってそれが人気だったら嬉しいし、売れなかったら、なんでだろうと試行錯誤するのもまた楽しい。
慌ただしい日々のなかでもたまにきちんと初心に帰って、純粋に料理の楽しさや料理を食べてもらえることの嬉しさを、いつまでも忘れずにいたいです。
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