コロナ禍での新規事業立ち上げや新店舗オープン、離島での開業、オリジナル商品の開発など、創業21年目を迎えた現在も挑戦する姿勢を貫き成長し続けるRHグループ。この記事では、RHグループを支えるスタッフたちを紹介。今回は、CEOの竹松弘光にインタビュー。創業から現在までを振り返りながら、組織・会社づくりで大切にしていることや今後の展望について聞きました。
竹松 弘光(たけまつ・ひろみつ)/RHグループCEO
某飲食グループで働いたのち、2002年10月「創作DINING 心」(現・ROBATA 二代目 心)をオープンさせたことを皮きりに、飲食店の展開や人材派遣業、厨房機器・陶器販売業、不動産業、宅地建物取引業、キャリア相談、書籍出版等、飲食業を軸に多種多様な事業を手掛ける。現在はRHグループCEOとして各事業および関連会社を総括する。一般社団法人 東京都日本調理技能士会 理事も務める。日本調理師 正友六進会 所属。
事業を多角化・分社化で有事に倒れない会社をつくる
---RHグループ創業のきっかけを教えてください。
RHグループは私の地元である東京・三鷹の居酒屋から始まりました。大きな飲食グループで働いたのち、29歳で独立して「創作DINING 心」(現・ROBATA 二代目 心)をオープン。その後、東京都内を中心に飲食店を展開して、現在は8店舗を運営しています。
飲食事業から始まった会社ですが、現在は不動産事業・建築デザイン事業・精肉事業・WEBコンテンツ制作事業と多岐にわたって展開しています。
というのも、飲食事業は社会情勢などの外的要因に影響されやすい。リーマンショックや東日本大震災、新型コロナウイルス感染症の発生で痛感しました。
有事に倒れない強い会社をつくるためには、事業の多角化や分社化が必要だと思い、現在のような事業展開とグループ会社の構成としました。
また、直近では飲食事業の中でも居酒屋業態だけでなく、“肉”をテーマに、精肉の卸売事業や肉割烹・レストランの運営など、事業単位でも多角化を進めています。
---不動産事業や建築デザイン事業、WEBコンテンツ制作事業は飲食とは全く異なる分野ですが、なぜ事業展開しようと思ったのですか?
不動産事業や建築デザイン事業に関しては、自分が思い描いている店舗を忠実に再現したいという思いがあったからです。そのためには、自社施工するのが早いと。
WEBコンテンツ制作については、お店の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいという思いからはじめました。飲食事業を中心に必要な事業を増やしていった形ですが、実現したいことがあれば自分たちでチャレンジすればいい、というのが基本的な考えですね。
既成概念にとらわれず、日本の食文化を発展させる
---RHグループが掲げる「地球環境と食文化に寄り添う」という理念について教えてください。
企業活動をする上で地球環境へ与える影響については当たり前に考えなければいけないのは大前提のもとですが、特に建築や食などRHグループが行う各事業は、地球環境と密接にかかわりがあります。
RHグループにかかわるすべての方を幸せにするためには、この先も人々が変わらず暮らしを営むことができるように、地球環境を守り持続可能な未来をつくっていくことがマストです。RHグループで働く社員には、自分の仕事や行動が地球環境にどのような影響を与えるのか常に考えて行動してほしいという思いを込めて、理念として掲げることにしました。
「食文化」にフォーカスすると、日本の食文化をさらに発展させていきたいという目標があります。日本の食文化とは単に日本料理だけを指すのではありません。
日本には素晴らしい食材が溢れていますよね。例えば、RHグループが扱っている“和牛”は世界的にも有名で、海外の観光客の方々からも人気が高い食材です。
でも、どんなに素晴らしい食材でも調理方法を間違えば、そのポテンシャルを発揮できません。そして、そのポテンシャルを最大限に引き出すための調理方法は、食材ごとに異なるのです。
調理方法はもはや、日本料理やフランス料理などの“ジャンル”という既成概念にとらわれず、さらに高度な技術として磨きをかけていくべきだと私は思っています。
ただ、やみくもに新ジャンルを切り開くつもりはありません。良い食材を見つけたらとことん向き合って、深く理解する。追求した先にあるイノベーティブなものを掴みたい。
まだ誰も知らない料理の領域に踏み込みたいと思っています。
もちろん、イノベーティブなものを掴むには、基礎的な技術があってのこと。RHグループにはそうした高度な調理に挑戦できるような人材がそろっています。また、料理の顧問として、日本料理研究会 師範であり数々の受賞歴をもつ平井善道氏による定期的な研修も行っており、社員全体のスキルの底上げを図っています。
RHグループの始まりである居酒屋も、日本独自の食文化であると考えています。食事のメニューが豊富でおいしい。しかもお酒も飲めるという場所は海外では少ないですから。
RHグループの居酒屋業態では、お客様とのコミュニケーションを大切にしているので、どの店舗もスタッフとお客様が会話に花を咲かせながら、にぎやかに営業しています。
料理に向き合って技術を高めたい人、接客を通してコミュニケーション能力を身につけたい人…同じ飲食業界でもやりたいことや目標は人によって異なります。
RHグループでは社員一人ひとりがやりたいことを楽しめるような環境を整えています。
食文化に寄り添うというのを広く捉えたときに、料理人や飲食業界の社会的な地位向上にも貢献したいです。
私が一般社団法人 東京都日本調理技能士会 の理事を引き受けたのも、日本の食文化の素晴らしさや料理人の技術の高さを国内外に発信したいという思いがあったからです。
料理人が正しく学べる環境の整備や料理人以外の方々も日本の食文化に触れることができる機会を創出しながら、飲食業界を盛り上げていきたいですね。
すべての人が幸せであるように、新しいことに挑戦し続ける
---組織づくりで大切にしていることは何ですか?
理念のお話でも少し触れましたが、第一にRHグループに携わるすべての人が幸せであることを大切にしています。
リーマンショックや東日本大震災、新型コロナウイルス感染症が発生したとき、お金はどうにでもなるけれど、人の心が疲弊して折れてしまったら簡単には元に戻せないということに気づきました。
不安ばかりの毎日では、モチベーションが下がり幸せな未来を描くことができない。そんな思いもありコロナ禍で苦しい状況でしたが、あえて新たに精肉事業を立ち上げました。
これは、事業を多角化・分社化しているRHグループだからこそ成し得たことだと自負しています。
あとは、新しいことにチャレンジしながら自己研鑽できる環境づくりも大切にしています。RHグループの社員にはお互いを仲間でありライバルであると思って働いてほしいです。
プロとしてお金を稼ぐためには、多少負けず嫌いな部分も持ち合わせていたほうがよいかもしれないですね。
私自身、飲食業界に入りたての頃は魚屋さんに行って、魚の捌き方を教えてもらってから出社していました。おかげで誰よりも魚を捌くのが速くなりました。絶対トップに立ってやろうと決めていたので、そのための努力はすべてしました。
一方で、人に教えることもじつは好きだということに、最近気づきました。
「ものづくり・匠の技の祭典2023」というイベントで、子どもたちに卵焼きの作り方を教えていたときに、新しいことを学ぶときの表情や目の輝きを見て、思わず感動したんですよね。
思い返してみると、若い頃、自分が身につけた技術を同僚や後輩に教えて、仲良くなって助け合って…みたいな関係性も築いていました。
RHグループも社員同士が高め合えるような風通しのよい環境をつくっていけたらと思っています。
---社長として大切にしていることは何ですか?
当たり前のことですが、すべての責任を背負うことです。会社の役員、事業責任者、店長、スタッフ、会社にはいろいろな立場が存在しますが、じつはどの立場も責任はそこまでなくて。会社が行うことの責任は社長にあります。
だから、RHグループで働く社員には臆することなくいろいろなことに挑戦してほしいです。責任は私がとるので。
そして、社長として私自身、常に新しいことに挑戦し続けなければと思います。時代は刻々と変化し続けるのにずっと同じことをやっていては、企業は成長できません。
時代を読み、いかにして“勝つ”か。経営者の手腕の見せどころですね。
“真っ白なキャンバス”だからこそ生まれるおもしろい発想
---今後、どのような人と一緒に働きたいですか?
好奇心旺盛な方と働きたいです。RHグループでは居酒屋やレストラン、和食などいろいろなジャンルのお店があり、自分がやりたいと思うことを選べる環境なので、興味があることにどんどんチャレンジしてほしいですね。
業界未経験の方も大歓迎です。経験がない、いわば“真っ白なキャンバス”だからこそ生まれる新しくておもしろい発想があると思うので。
新しい視点や今までにない視点という意味では、女性や海外の方も積極的に採用したいです。
業界的にもRHグループでも女性や海外の方の料理人はまだまだ少ないですが、日本の食文化を発展させるという目標に共感していただける方であれば、性別、国籍問わず一緒に働きたい。そのためにも、福利厚生やサポート体制の整備を進めています。
キャリアアップ制度についても、キャリアカウンセラーの野々垣みどり氏とともに構築中です。飲食の仕事はスキルに対する明確な基準などがないので、キャリアが見える化しにくいと思っています。
でも、自分自身の“現在地”が分からないと目標も決めることができないですし、やみくもに努力し続けるのは長続きしないでしょう。社内の評価制度や外部の品評会、資格取得も含めてバックアップしたいです。
独立支援も行っていて、必要なスキルを磨ける環境とナレッジの共有はしていますね。ただ、個人的には独立する必要ないのでは?と最近思うようになりました。
なぜなら、RHグループでは独立したときと同じくらいの一定の権限と裁量、給料をもらえるような環境を用意できるからです。
独立するにはリスクも多い。ここ数年の社会情勢の変化や自然災害などで私自身がよく分かっています。だからこそ、社員には最小限のリスクで大きなチャレンジができる環境を与えたい。
店舗を一つ任せたり事業責任者として活躍したり、形はさまざまですが積極的に「やりたい!」と声をあげてほしいです。もちろん、そのためのスキルアップなど本人の努力は必要ですが、全力で応援します。
飲食業はもっと楽しめる
---今後の会社としての展望を教えてください。
まずは、今ある一つひとつの事業にさらに磨きをかけて強固にしていきたいです。特に新規事業である肉事業は、まだまだポテンシャルがあると思っています。
一つひとつの事業を強固にするためには、事業ごとに優秀な責任者が必要。今いる人材にかかわらず、これから入社してくれる人材も含めて私自身のスキルや経験を共有しながら、経営者視点で働ける人材を育成していきたいと思います。
とはいえ、人材を育成して会社が勝手に回っていく状態をつくったら私は暇になるので、おそらくまた新しいことに挑戦するのではと思っていますね(笑)
---最後に、飲食業界で働く醍醐味は?
飲食業は苦しいこともありますが、やっぱり楽しい。料理や接客など、自分で本気で取り組んだことに対して、お客様から直接、感謝の言葉や感想を聞けることですね。
インターネットが普及して便利になった一方で、人と人が対面して提供するサービスが減りつつあると思います。飲食業を通じて人と関わりながら、楽しく働いてほしいですね。
あとは、働いてからでも働く前でもいいので、カジュアルに飲みにいきましょう!食べる・飲むことを楽しむのが飲食人として一番大切。場所はRHグループのお店で!(笑)
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